Hospital Up Diary

医療事務のホスピタリティー向上委員会

【必ず】活用しよう!高額医療費制度の活用方法③〈世帯合算編〉

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高額医療制度には【世帯合算】というシステムもあります。これは、個人や家族が単体では高額医療費には届かない金額ですが、合わせれば高額医療費の対象となる場合に使われます。医療費が結果的に高額になってしまったときの救済措置的な制度ですね( *´艸`)これは、自己申請しなければ自動的には適応されませんので、患者さんもしっかりと理解しおきましょう。

 

世帯合算とは

 

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高額医療費の支給を受けるためには、自己負担上限額(所得によって異なる)を超えていなければいけません。自己負担上限額については〈基礎編〉を参考にしてください。

単体の支払いではこの上限額に達しない場合があります。しかし、財布の中からはしっかりと高額医療費対象のお金が出て行ってしまっています。そこで単体の支払いを【合算】することにより、高額医療費の対象として申請できるという制度です。

合算金額の計算などは、病院窓口ではできないため自身で高額医療費申請をする必要があります。こちらも〈基礎編〉を参考にしてください。

 

合算の基礎的考え方

 

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高額医療費に付随する制度のため、高額医療費制度の基礎がそのまま適応となります。

【①患者1人ごと②月ごと③病院ごと④入院・外来ごと】に計算されます。合算では各々の計算条件を反映させます。医療従事者はレセプト単位が適応と考えると良いでしょう。このままでは分かりにくいで以下にまとめていきます('◇')ゞ

 

合算ができる対象

 

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全部で4つ合算ができる対象があります。

①同一世帯:ここでいう同一世帯とは保険証が同じであることです。加入者(本人)とその扶養(家族)の相互のみで適応されます。家族でも社保と国保だったり、同じ社保でも加入者(本人)同士は合算ができません。

②外来・入院:外来と入院の会計は別扱いになります。もし同月内で入外があった場合は合算の対象となります。

③複数病院:A病院・B病院・CクリニックやA薬局・B薬局など、健康保険を使用した場所の会計は、病院や薬局関係なく合算対象となります。

介護保険:高額医療と高額介護サービス費に関しては1年単位で合算し、上限額以上になると支給対象となります。

 

合算の条件

 

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合算にはいくつか条件があります。まず、合算対象が同じ月であることです。

それと、同一保険に加入していることです(前述の通り、本人と扶養者のみ)。

同一月の同世帯のみですが、その中でも窓口負担が21,000円以上の支払いがあった場合のみ合算が可能です。

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この図のように、一つの窓口で21,000円以上の自己負担があった場合は合算できます。合算した金額が高額医療費の上限額より高ければ払戻があるということです。A病院では21,000円の支払いがあったが、B病院では21,000円以下の支払いしかなかった場合は合算ができません。

21,000円以上とはあくまで、医療費全体ではなく窓口で自己負担した分になります。3割負担ですと、約6800点の診療…家族の合算ならあるかもしれないが、本人の合算は件数はあまりなさそうですね( ゚Д゚)

 

合算の4パターン

 

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保険区分として4つの合算パターンがあります。

 

◇一般(70歳未満)同士の合算

 

高額医療費のア~オの所得区分と関係なく、21,000円以上の支払いがあった場合のみ合算が可能です。合算した額の自己負担上限額は所得区分に準じますよ。

 

◇高齢受給者(70~74歳)同士の合算

 

70歳以上は窓口21,000円未満の支払いでも合算が可能です。個人の外来自己上限額があるため、そちらを先に計算します。外来費の算出ができたあと、入院や世帯の合算が可能です。

 

◇一般と高齢受給者の合算

 

同じ保険者世帯内でも年齢により発生する事例です。合算方法は一般は21,000円以上であること。高齢受給者は外来費用を算出して入外の合算をし、一般と合算します。合算後の高額医療自己上限額は一般の所得区分ア~オの計算式を適応します。

 

後期高齢者(75歳以上)同士の合算

 

高齢受給者の合算方法をそのまま適応します。ただし、後期高齢者は一般や高齢受給者と合算ができないため、後期高齢者同士のみの合算対象となります。


合算方法の一例

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同一世帯、父(72歳2割)と母(70歳2割)と子(50歳3割)で高額医療の区分は高齢で一般、一般でウの区分の家族がいたとします。

家族全員が同一月に病院の診療を受けました。

父はA病院の外来300,000円とB病院の外来が200,000円の診療を受けました。2割負担が、高齢者の高額医療上限額以上のため各窓口は18,000円の負担となります。AとBを合算して外来自己負担上限18,000円のため「①償還18,000円」は合算により払戻対象となります。

母はA病院に入院し総医療費400,000円の診療を受けました。2割負担が高額医療上限額以上のため窓口では57,600円の負担となります。これを父の自己負担分の18,000円と合算します。上限額が57,600円のため「②償還18,000円」は合算により払戻対象となります。

子はA病院外来で総医療費80,000円の診療を受け3割負担の24,000円を負担します。窓口負担が21,000円以上あるため、父と母の診療費と合算します。父・母は合算後の自己負担が57,600円のため、子と合算し81,600円となります。

子の自己負担上限額の計算式(ウ)を適応すると限度額は87,430円になるため、合算金額が限度額より少額となります。よって、子を合算しても払戻(償還)金はないということです( ゚Д゚)!

結果、①と②の合計金額36,000円が合算により払戻(償還)されます。

 

もう訳が分かんなくなりそうですね(+_+)・・・

 

 

世帯合算による償還金額はまあまあな金額になる時もあります。基本的には自己申請になるため、患者さん自身がこれを把握しておく必要があります( ;∀;)しかし、知らない方が多いと思いますし、患者まかせではお役所仕事になってしまいます。病院職員はせめて、聞かれたときに説明してあげられるようにしておくことは必要だと思いますよ('◇')ゞ

医療制度が複雑で患者さんは自身が制度を知らないことを「病院の説明不足」と被害者意識を持ってしまいます。制度の案内なんかに時間をかけられないのが現場の実情と思われますが、「医療は仁術なり」の精神で対応していければと思います( *´艸`)

 

 


 

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